アラブでお菓子のハナシ、ゴハンの時間

シリアから始まったアラブ菓子・料理研究。現在エジプトで活動中。

アラブの甘い、ナイチンゲールの巣

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アッシュルバルバルという、ちょっと変わった名前のお菓子があります。
アラビア語でアッシュは巣、バルバルはナイチンゲールを意味し、その名のとおり、鳥の巣を思わせる、かわいらしいアラブのお菓子です。


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アッシュルバルバルの主な材料は、クナーファという麺のような生地。水溶き小麦粉を熱した鉄板の上に細く垂らして作られます。専門店で買うことができますが、スーパーマーケットでも冷凍のクナーファを扱っています。
クナーファはアラビア語で、守る、保護する、囲む、などを意味する「カナファكنف」から派生した言葉で、文字どおりナッツやクリームなどを包んだり挟んだりして使われます。
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伝統的には、クーズクナーファ(クナーファ差し)と呼ばれる手持ちの容器に生地を入れ、鉄板の上で円を描くように動かしながら生地を流して作られますが、現在では機械での生産が主流のよう。ちなみに家庭で作られることは普通ありません。
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クナーファの起源はウマイヤ朝時代(661-750)のシリアとする説や、ファーティマ朝時代(909-1171)のエジプトとする説など、諸説ありますが、後者が有力のよう。あのアラビアンナイトにも頻繁に登場します。
アラブのお菓子にとってこのクナーファは重要な素材で、様々なお菓子に使われています。国や地域によって形や名前は微妙に異なりますが、その多くはナッツを包んで揚げたり、クリームを挟んだりしたものにシロップをかけるという手順で作られます。粉状に挽いて用いることもあり、一見するとクナーファが使われているとは気が付ない物も。シリア、レバノンなどでよく食べられているクナーフェ・ナーブリスィーエという、モッツァレラチーズに似たチーズ、アカウイーを使用したデザートはその代表とも言えるでしょう。
エジプトでは、クリームを挟んだクナーファが家庭でもよく作られており、夏にはマンゴーを使ったクナーファが登場します。
アラブ地域のみならず、トルコ、ギリシアなどでも使われており、これらの地域ではカダイフ、カタイフィと呼ばれています。
クナーファ自体には甘味がついていないため、料理にも活用することができます。残念ながらアラブ料理での使用はまだ見かけませんが、フランスなどでは新しい素材として積極的に取り入れられているようです。

おお、クナーファよ、髪の毛ほどの細さになりて、食べたくもあるかな、楽しくもあるかな。
おお、クナーファよ、これに対するわが熱望、叫びたつわが熱望は、強度の強さ。
わが食卓にこれ無くしては、死ぬほどの思い、わが生の一日だにも過ごし得んや、
おお、クナーファよ、やあ、クナーファよ。
     完訳 千一夜物語〈1〉 岩波文庫

〈クナーファを使ったお菓子の例〉
クナーフェ・ナーブリスィーエ
細かく挽いたクナーファ生地と弾力のあるチーズの温かいデザート。
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マブルーマ
クナーファでピスタチオを巻き、油で揚げ、シロップに浸したお菓子。
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バッルーリーヤ
クナーファに焼き色がつかない程度に焼いたお菓子。水晶という意味。
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この記事はカイロ日本人会会報「パピルス」2014年9・10月号で執筆した物に編集を加えました。
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