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アラブでお菓子のハナシ、ゴハンの時間

シリアから始まったアラブ菓子・料理研究。現在エジプトで活動中。

カテゴリー "食材" の記事

エジプトで生貝 ウンム・ホルール

エジプト第二の都市、アレキサンドリアは、地中海沿いということもあり、魚料理が有名です。正直なところ、カイロでも十分美味しい魚が手に入るのですが、せっかくだからと、魚料理レストランであれやこれやと試してみたくなります。
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しかし、今時何でも手に入るカイロでも、アレキサンドリアなど、海沿いの街でしか見かけない物があります。
その一つが“ウンム・ホルール”。2㎝ぐらいの極小の貝です。(日本語では、ナミノコガイ?)
これは、普通は魚屋さんではなく、街角などでスナックとして売られており、紙をくるっと丸めた包みに入れてくれます。
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食べ方は簡単、貝をこじ開けて、そのまま口に運ぶだけ。
身は小さいのですが、うま味がすごくて、塩加減が絶妙です。
それもそのはず、日本では(ナミノコガイだったとして)、この貝は一般的には流通しておらず、鹿児島県の一部地域で食用に売買されているのみだそうですが、非常に濃厚なダシが出る、知る人ぞ知る貝なのでそう。

エジプトでは、そのまま、もしくは、ニンニク、レモン汁などで作ったソースに浸しながら食べる他、スープにするのも一般的だそう。
あ~、絶対おいしいわ。そのスープ。
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ちなみに、これは茹でたりしてあるわけではなく、生です。
エジプトで生貝なんて、お腹を壊しそうですが…私は平気でした。
ただ、貝をこじ開ける時に親指が深爪になってしまい、更に塩がしみてきて激痛で途中でギブアップ。
カイロで売っていたら、生で食べるのはちょっと恐いけど、スープにボンゴレに、いろいろできるのになぁ。
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マハラブ

焼き菓子に使う、ちょっと変わったスパイス、マハラブ(マハレブ、マーレブ、Mahleb、mahlab、Mahalepi、とも)。

さくらんぼの一種の種です。
使うときは挽いてパウダー状にし、生地に混ぜ込みます。ほんのり苦いアーモーンドの様な風味があります。
シリアなどのシャーム地方やエジプト、トルコ、アルメニア、ギリシアなどでよく使われており、それ以外の地域ではあまり見かけないスパイスです。
シリアなどではイード(お祭り)の時によく作るマアムールの生地に加えたり、エジプトでは同じくイードのお菓子“カハク”に使われるミックススパイス“リーハトカハク(カハクの香り)”の入っていたりと、一般的には焼き菓子によく使われています。一部地域ではチーズを作る際にハッバトルバラカと一緒に練りこんだりもするようです。

私が初めてマハラブを知ったのは、2008年にシリアに滞在していた時で、それはアラビア語で書かれたお菓子のレシピ集からでした。
マアムールの材料欄にマハラブが載っていたのです。ただ、調べても“さくらんぼの種”みたいな情報しか得られず途方に暮れる日々。当時お世話になっていたお菓子工場では、このマハラブは使用しておらず、いつもスパイスなどを買うお店にもマハラブは置いてなかったのです。
その後、何件かのお宅で、マアムール作りをお手伝いして、やっと実物に遭遇したのでした。
マハラブを使用する人の方が少なかったように思いますが、使っている人も、使っていない人も、あれば使えばいいが、なかったら別に使わなくてもいい、という意見は共通していました。

一方エジプトでのマハラブは、その存在を知らない人がちらほらいる、それほどメジャーなスパイスではないようです。
ギリシアではスーパーマーケットでも簡単に買うことができ、一般的なスパイスの地位を保っているようでした。

強烈な味が加わるわけではないので、確かになくてもいいと言ってしまいがちですが(実際に私も初めてマハラブを味見したときは、何これ??という、けっこう探した割には印象の薄いものでした)、やはりこれが加わると香ばしくなり、味わいが増すような気がします。

マハラブの効能は、背中の痛み、咳、肝臓、腎臓、脾臓の痛みなどに効くようです。

マハラブを使ったお菓子はこちら。
マアムール
カアク・イード
カハク
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スンマーク

アラブ料理の中でも特にシリアやレバノンなどの、いわゆるシャーム地方の料理には欠かせないスンマーク
すぐに使えるように、粉末にして売られているのが一般的で、挽く前の物を目にすることは稀なのですが、嬉しいことにレバノンの、とある小さな村の農家の方から分けてもらうことができました。
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小さな実がぎっしりついています。
これを枝から外して、中の種を取り除き挽いた物がよく目にするスンマークです。
ただし、種は非常に硬いので、一般家庭では挽く代わりに実を水に浸け、その汁を使うとよいとのこと。
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程よい酸味が溶け出して、レモン汁の代わりとして重宝するようです。
汁を煮詰めたシロップも時々見かけますが、ザクロシロップよりも高価で、各家庭に常備、と言うわけではないようです。
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マラーナ

ヒヨコマメの若い実、マラーナ。
エジプトではシャンム・ナスィーム(春香祭)の食べ物の一つとして知られています。が、意外と売っているところのに遭遇せず、エジプト滞在3年を目前にやっと食べることができました。
周りのエジプト人に聞いても、もう何年も食べてない、と言う人が多かったです(あまり売っていないという理由の他に、そこまで美味しくないからと言う人もいた)。

肝心の味ですが、さやから出して生のままポリポリ食べるので、何というか、青臭いです。
ヨルダンではハームレ・マラーネと呼び、ローストして食べることもあるみたいですね。
DSC00434.jpgかわいい

アラブ中東地域には“青いまま食べる”系の物が春先に多く出回ります。
例えは、エジプトではこのマラーナの他に、フール・ヘラーティーと呼ばれる、いわゆる生ソラマメもそのまま食べたりします。
シリアやレバノン辺りではウージャ(アーモンド)やジャニレック(プラム)などが並ぶと、一斉に春めいた雰囲気になり、ウキウキするものです。
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アマルッディーン

アンズのペースト、カマルッディーン(アマルッディーン)。
ピューレにしたアンズと砂糖を煮詰め、広げて乾燥させたキャラメル状ものです。
ジャムをさらに煮詰めた、というイメージです。

アラビア語でカマルは月、ディーンは宗教を意味し、“宗教のお月様”というような意味合いになります。
はっきりとは分かりませんが、これはこの食べ物を最初に作った人の名前のよう。

シリアのダマスカスで良質のアンズが取れることから作られ始めたそうですが、現在は広くアラブ、中東地域で食べられており、特にラマダーン(断食月)には水で戻してジュースとして飲まれています。
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またそのまま食べることもあり、一口サイズに包装された物もあります。
少し歯にくっつきますが、程よい酸味があり健康的なおやつとしてピッタリかなと思います。
かなり砂糖が入っているので、もちろん食べすぎには注意ですが。

レバノンではアンズ以外の果物、例えばプラムやイチジクなどで作ったものも売られています。
一般的にはアマルッディーン=アンズなのですが、これらも同様にアマルッディーンと呼ばれています。

余談ですが今年のラマダーンまであと一か月を切り、スーパーマーケットにはラマダーン特別コーナーなるものが設置され、このアマルッディーンも山積みされているのですが、なんと値段が2年前の3倍になっていてすごく驚きました。(2年前の値段をはっきり覚えていないので勘違いかもしれませんが。。)
これまでは、ほとんどのアマルッディーンはシリアからの輸入だったのですが、昨今の厳しい状況に加えて、物価が絶賛上昇中のエジプト。よく考えると他にも1,2年で2~3倍になっている物が結構あるので、これくらいは仕方がないのかなと思ったりもします。
そういえば、シリアに住んでいた時もラマダーンの時期に、特に食品は値上がりしていました。
普段よりたくさん買い物をする、せざるを得ないということで便乗値上げとも言われており、不当な値上げは問題だと新聞で記事になっていたことなどを思い出します。
今年もラマダーン商戦、始まっているのでしょうか。
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